【フィル】
「なんだ、寒いのか」

【コレット】
「え、ええ……」

【フィル】
「……ふん」

折角散歩に出てるのに、寒いなんて言ったから、
怒ってるのかしら……。

【フィル】
「だったらそうと早く言え」

【コレット】
「え……」

突然フィルの顔が近くなって、
何をされるのかと一歩後ろに……
下がろうとしたけど、できなかった。

体が何かにつかえて、動かない。

【コレット】
「えっ、あのっ、あれっ!?」

【フィル】
「暴れるな! 暴れるくらいなら出て行け!」

【コレット】
「出て行けって……あ……れ……?」

さっきまで感じていた冷たい空気が遮られ、
体中があたたかくなっている。

これは……フィルの外套の中……?

私を温めてくれるために……?

【コレット】
「……」

意外な優しさに、驚いて思わずまじまじと
フィルの顔を見る。

【フィル】
「……なんだ、何か文句があるのか」

フィルはあからさまに不機嫌な顔をすると、
私を睨みつけた。

だけど、こんな優しさを見せた後では、
まったく怖くない。

【コレット】
「文句なんてないわ、
だってこんなにあたたかい……」

【フィル】
「……そうか、だったらいい」

【コレット】
「……温めてくれてありがとう」

【フィル】
「……え……」

【コレット】
「……ありがとう……」