【ブラッドリー】
「……わかっているのです、
一緒に過ごす時間が長ければ長いほど、
別れを迎えた時の哀しみは大きいということを」
【コレット】
「……! 別れるなんて、そんな……!」
【ブラッドリー】
「……私も、今はそんなことを考えてはいません」
【コレット】
「じゃあ……」
【ブラッドリー】
「だけど……私は考えるだけで怖い。
あなたが、私がしようとしていることを知った時、
どう思うのか……」
【コレット】
「……」
【ブラッドリー】
「だから……まだ夢から醒めさせないで下さい。
どうか……お願いします」
私は少し淋しかった。
ブラッドリーが何をしようとも、
何者であろうとも、愛し続けたいと思ってるし、
愛し続けられると信じてる。
だけど、ブラッドリーは私を信じてくれていない。
【コレット】
「……私は何があってもブラッドリーを愛してるわ。
この言葉だけじゃ……ダメなの?」
【ブラッドリー】
「……」
風が葉を撫で巻き込みながら空へと帰って行く。
ブラッドリーは私は月に帰るのかと聞いた。
だけど、今の私にはブラッドリーの方がよほど、
いつか月に帰ってしまう儚い存在に見える。
何も答えないブラッドリーに、私は言った。
【コレット】
「いいわ……今は私が信じられなくても。
だけどこれだけは許して欲しいの」
【ブラッドリー】
「何をですか?」
【コレット】
「私があなたを信じるっていうことだけは、
許して欲しい」
【ブラッドリー】
「……」
重なった唇が少し震えている。
ブラッドリーは本当に恐れている。
自分の全てを私に明かすことを、
そしてそれについて私が何か思うことを。
だけどねブラッドリー、
私はもう子供じゃないから知ってるの。
夢から醒める日は、いつか必ず来てしまうのよ……。